株式会社日本ジャーナル出版

www.nihonjournal.jp

今週の怪文書 No.399

ついに実った“ニイウスコー怪文書”

 民事再生手続き中のシステム開発会社「ニイウスコー」(本社=東京・中央区)の元会長、末貞郁夫容疑者ら2名が、横浜地検に巨額粉飾決算容疑で逮捕され、同地検と証券取引等監視委員会と合同で関係先が家宅捜索された事件。粉飾決算の手口は、昨年、新興企業何社が捜査当局に摘発された「循環取引」だった疑いが強まった。今回は、このニイウスコーの循環取引を巡る話。
 2年前にその疑惑を示唆する怪文書が、マスコミ各社に届けられていた。発行人が誰かは不明ながら、真相を衝いたこの怪文書。捜査は2年かけて水面下で続けられ、花開いた。怪文書のお手柄である。タイトルは〈ニイウスコー、不正取引疑惑 問題企業はなぜ支援され続けたのか〉。A4判用紙1枚、1頁にワープロ打ちで綴られ、ニイウスコーが発表した中間決算文書の一部が添付されていた。
〈2008年×月×日 ×曜日 ××××新聞××部 ○○○○、○○○○ 社会 IT・通信 ニイウスコー 循環取引 渦中の人物の口から出た言葉は、なかなか刺激的だった。「結構、『黒いな』という心証を持つに至ったわけです。社長として。ただそれをどのように発表するかは、ぎりぎりの判断でしたけど…」。
 自宅前でこう話すのはシステム開発を手がけるニイウスコー社長の大野健氏だ。昨年10月に就任して以来、マスコミの前に姿を現したことはない。
 ニイウスコーは日本IBMと野村総合研究所の共同出資会社としてスタートした。とりわけ××××××××向けシステムでは年間120億円もの取引がある。そんな名門企業が、こんな発表をするに至った。
「過去において不適切な疑いのある取引が行われた可能性があるのではないかと考えられる…」
 不適切な疑いのある取引。それは、取引先との間で架空の商品を伝票上で売買し売り上げを水増しする「循環取引」のことを指すのだろうか。記者がそうただすと、「イエスともノーとも言えないが、小さな額とはとても言えない不正取引があった可能性は否定できない」。さらに大野氏はこう続けた。「上場企業として、一刻も早く具体的な内容をお知らせすべく会社の調査委員会で調べてもらっている」。
 だが、ニイウスコーについては昨年9月の段階で既に不正取引の疑義はあった。以来、同社の再建を巡ってはいくつかの疑問が払拭されていない。〉
 ニイウスコーは平成4年7月、日本IBMと野村総研が設立、当初の社名は「ニュー・インテリジェント・ワークステーション・システムズ」だった。社長は、日本IBMに昭和46年に入社。平成4年にはソリューション統括・金融ソリューション副部長だった末貞容疑者が社長に就任。同容疑者は平成6年に退社するまで日本IBM社員だったことになる。
「取引先は超一流企業ばかり。株式の公開値は10万円に対し30万円の値がつきました。ある時期まで超優良銘柄、人気企業でした」(経済部記者)
 しかし、ライブドア事件を契機に、新興企業への風向きが変わった。倍々ゲームで社員を増やしていったニイウスコーは、売上げが落ちると一挙に赤字に転落。シンクタンクから純資産の評価が過大と指摘され、株価は大暴落した。末貞容疑者は会社立て直し策に循環取引を思いついたのだろうか。粉飾額は682億円と指摘されている。
Copyright ©2002-2016. 株式会社日本ジャーナル出版. All Rights Reserved. 無断転載複製禁止.